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Column【コラム -琉球新報より 共に考える住宅デザイン-】

琉球新報より 共に考える住宅デザイン ― 金城 豊

vol.001 生き方のデザイン
空間の間取り
人の集まる事が多いこの住宅は、和室と居間と中庭が一体となるプランになっている。
誰が住んでもいい、住まいのデザインというものは、 この世にはあり得ない。
新築の住宅とか雑誌やインタ−ネットの写真や図面を見て、外観的な新しさやモダンな様相に感心して、すぐにそれを真似るのは最も感心できない出来事だと実感している。

確かに、そうしたものが参考になることはある程度はあるとは思うのだが、本来、住宅のデザインを考えるとき、家主さんの生活スタイルのイメ−ジを、自分たちがかたちにするのであって、自分かってにデザインした空間に家主さんが住むという事にはあまり興味が湧いてこない。

住宅のデザインは、自らの暮らし方とか、生き方をイメ−ジしたうえで用いていくものであり、始めに、人間それぞれの「生活」というものがあって、その後に「住まいのデザイン」が出来上がっていくものだと思う。

これ以外にもさまざまな条件として敷地から立ち上がってくるものもある。
敷地の方位、高低差、周りの環境や建築の法規といった条件など「敷地の癖」を読むことも重要だが、これ以上に重要なことは、自らの現在の暮らし方を見つめ直し、さらにこれからの未知なる未来の生活をイメ−ジし、こうして生きていこうという「生き方」そのものを住宅のデザインに取り入れることが重要だと思う。

自らの生活の方向を良く考え、それぞれの暮らし方の性格に応じたプランを考えていく事が、良い住まいをつくるための第一の条件だと考える。
暮らし方の性格に応じたプラン
人間の生き方にはそれぞれの特色があり、その特色は住まい住宅デザインに大きな影響を与える。
プランニングというものが、それぞれの家庭の暮らし方によって、非常に違った様相になる事に気をつけなければならない。

人間の生活の形にもいろいろあるように、空間の間取りの取り付き方にもさまざまあるからだ。
子供がいたり、老夫婦が同居したり、私的な空間が増えたりするだけでなく、各部屋の結びつきや、玄関や水廻りなどの台所・便所・浴室の位置などで、住まい全体のあり方がガラリと変わってくる。

住まいの中心的な居間や食事室のあり方や家庭での家事労働のやり方といったことも大切な問題だと思う。
家を建てるための技術的な知識やデザインの美しさという前に、こうした根本的な条件をそれぞれの現在の暮らし方にあてはめて考えてみることは、非常に大切なことだと思う。

いい住まいの住宅デザインとは、そこに暮らしている人々が、なにげなく暮らしていく日々の生活のなかで、住宅のデザインとか間取りとかなど、家全体の存在を意識する気持ちがなくなっていくような住まいだと考えている。
それぞれの暮らし方の性格に応じたプランを考えていく事が、良い住まいをつくるための第一の条件だと考える。
中庭の配置のしかたによって、すまい全体のあり方がガラリと変わってくる。

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